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不動産会社の商圏分析を無料データだけで完結させる方法

e-Stat(政府統計ポータル)で人口・世帯数・高齢化率・持家率を、reinfolibで年間売買件数を無料取得できます。

ノートパソコンで政府統計サイトを開き商圏分析の数値を整理している様子

この記事の結論

商圏分析はe-Statで人口・世帯数・高齢化率・持家率を、reinfolibで年間売買件数を無料取得し、一括査定出店社・地場老舗・YouTube発信済み業者の3階層で競合をマッピングすれば完結します。人口だけで決める・競合を調べない失敗を避け、数値と競合の両面から判定することが成功の鍵です。

商圏分析で取得すべき6つの指標

e-Statで人口・世帯数・高齢化率・持家率・空き家率を、reinfolibで年間売買件数を取得すれば、商圏候補を定量比較できます。

商圏分析とは、開業するエリアの人口・世帯数・競合状況を定量データで比較し、最も反響が取れる商圏を選定する作業である。

指標 意味 売主集客への影響 取得元
人口 商圏の絶対規模 10万人未満は反響が薄い e-Stat
世帯数 住宅単位の需要 単身世帯率が高いと売却理由が分散 e-Stat
高齢化率 シニア事業との接続 25%超で相続・施設入居案件が期待できる e-Stat
持家率 売却案件の母数 60%超が望ましい e-Stat
空き家率 潜在案件の厚み 15%超で空き家仕入れ事業が成立しやすい e-Stat
年間売買件数 市場の実需 300件未満は慎重判断 reinfolib

e-Statでの人口・世帯・高齢化率・持家率の取得手順

トップページから「統計データを探す」→「国勢調査」→「市区町村別」で、人口・世帯数・65歳以上人口・持家世帯数を取得し、高齢化率と持家率を計算します。

e-Stat(https://www.e-stat.go.jp/)は政府統計の総合窓口で、登録不要・無料で全統計を閲覧できます。トップページ右上の「統計データを探す」から「人口・世帯」→「国勢調査」→最新年(令和2年=2020年)を開きます。

人口・世帯数・高齢化率: 「国勢調査 > 人口等基本集計 > 市区町村別」で総人口・世帯数・65歳以上人口を取得し、高齢化率(=65歳以上÷総人口×100)を計算します。

持家率: 「住宅の所有の関係別世帯数 > 市区町村別」で持家世帯数と総世帯数を取得し、持家率(=持家÷総世帯×100)を計算します。

空き家率: 「住宅・土地統計調査 > 市区町村別」で空き家数と総住宅数を取得し、空き家率(=空き家÷総住宅×100)を計算します。最新は2023年(令和5年)です。

商圏候補の6指標チェックシート

指標 判断基準 A市 B市 C市
人口 10万人以上 ×
高齢化率 25%以上
持家率 60%以上
年間売買件数 300件以上
一括査定出店 2社以下
YouTube競合 0社 ×

◯=基準クリア、△=やや不足、×=足切り未達

図1 商圏候補の定量比較シート(人口・世帯数・高齢化率・持家率・空き家率・年間売買件数)

reinfolibでの年間売買件数の推計手順

「取引時期」を直近1年間に設定し、「種類」は中古マンション・戸建・土地すべてにチェックして検索すれば、検索結果の右上に年間売買件数が表示されます。

reinfolib(https://reinfolib.mlit.go.jp/)はレインズ成約データを可視化するツールで、無料・登録不要です。検索結果の右上に表示される「該当件数」(例: 342件)が年間売買件数です。レインズ登録の成約事例のみ表示するため、実際の売買件数は表示件数の1.2〜1.5倍程度です。

競合マッピングの3階層

定量データで商圏を絞り込んでも、競合が先行していれば勝てません。3種の競合を棚卸しします。

一括査定サイト出店業者の調査法

SUUMO・ホームズ・リガイド等の主要一括査定サイトで、「売却査定」フォームに候補市区町村の住所を仮入力し、「この物件に対応できる業者」を記録します。地場業者が5社以上出店していれば競争激化エリア、2社以下なら狙い目です。

地場老舗の棚卸し

Google検索で「候補市区町村名 不動産 売却」、Googleマップで「候補市区町村名 不動産」を検索し、口コミ数・評価・営業年数をチェックします。創業30年超の老舗が3社以上いれば地主・紹介ネットワークが強固、口コミ数20件未満の業者が多ければデジタル対応が遅れており先行の余地があります。

YouTube発信済み業者の棚卸し

YouTube検索で「候補市区町村名 売却」等のキーワードで動画を探し、チャンネル名・投稿本数・投稿頻度・再生回数を記録します。投稿本数50本超・週1回以上の投稿をしている業者がいれば既に地域を押さえており、後発で追い抜くには2〜3倍の投稿ペースが必要です。検索結果の上位3本のうち2本以上が同一業者なら、その商圏は既に独占されています。

競合マッピングの3階層

第1階層
一括査定出店業者
SUUMO・ホームズ等で売却査定に候補市区町村を入力し対応業者数を記録。地場業者5社以上なら競争激化、2社以下なら狙い目
第2階層
地場老舗
Google検索・マップで候補市区町村名+不動産+売却を検索。創業30年超の老舗3社以上なら紹介ネットワーク強固、口コミ数20件未満が多ければ先行余地あり
第3階層
YouTube発信済み業者
YouTube検索で候補市区町村名+売却で動画を探す。投稿本数50本超・週1回以上投稿の業者がいれば後発は2〜3倍のペースが必要。検索上位3本中2本が同一業者なら独占済み

3階層すべてを調査し、競合の厚みを可視化する

図2 競合マッピングの3階層(一括査定出店社・地場老舗・YouTube発信済み業者)

最終判定の型: 数値×肌感覚×先行投資可否の3軸

評価軸ごとに重みをつけて点数化し、合計点が最も高いエリアを第一候補とします。ただし「人口10万人以上」「年間売買件数200件以上」の足切り条件をクリアしていることが前提です。

評価軸 重み A市 B市
人口(15万人以上で10点) ×2 10 5
高齢化率(25%以上で10点) ×1.5 10 8
持家率(60%以上で10点) ×1.5 10 7
年間売買件数(300件以上で10点) ×2 10 7
一括査定出店業者(2社以下で10点) ×2 7 10
YouTube発信済み業者(0社で10点) ×2 10 7
合計点 139.5 102.5

よくある失敗は、人口だけで決める(持家率が低く売主が少ない)、競合を調べない(YouTube発信済み業者が既に週1回投稿している商圏では後発で検索上位を取れない)の2つです。人口・持家率・競合状況・年間売買件数の4つを同時に見る必要があります。

不動産会社のYouTube台本、6つの型で反響を取る方法では商圏決定後のYouTube企画の立て方を、売主向けサイトを5営業日で量産する仕組みでは商圏に特化したサイト制作の手順を解説しています。

よくある質問

Q. e-Statとreinfolibは本当に無料で使えますか?

A. はい、どちらも登録不要・無料で利用できます。e-Statは政府統計の総合窓口、reinfolibは国土交通省所管の不動産流通推進センターが運営しており、全国のレインズ成約データを誰でも閲覧できます。

Q. 商圏選定で最も重視すべき指標は何ですか?

A. 年間売買件数と競合の厚み(特にYouTube発信済み業者の有無)です。売買件数300件未満、またはYouTube発信済み業者が2社以上いる商圏は、後発で参入しても反響が取りにくい傾向があります。

Q. 人口だけで商圏を決めるのは危険ですか?

A. はい。人口が多くても持家率が低い(賃貸比率が高い)エリアは売主が少なく、競合が多ければ広告費だけが嵩みます。人口・持家率・競合状況・年間売買件数の4つを同時に見る必要があります。

Q. reinfolibの件数は実際の売買件数とどれくらい違いますか?

A. reinfolibはレインズ登録の成約事例のみ表示するため、実際の売買件数は表示件数の1.2〜1.5倍程度と推測されます。業者間未登録の取引(両手・抱え込み)は含まれません。

Q. 商圏決定後に競合が増えた場合、どう対応すべきですか?

A. YouTube投稿頻度を上げる、または別の商圏を並行して開拓する2択です。後発で同じ商圏に参入した競合が週1回投稿を始めた場合、こちらが週2回以上投稿しないと検索上位を維持できません。

相談窓口

商圏分析の手順は理解できても、「この数値をどう解釈すべきか」「競合が多い商圏でどう差別化するか」といった判断が必要になります。私たちは商圏選定から所有者調査のデジタル化YouTube広告規制のチェックリストまでの仕組み構築を支援しています。

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AUTHOR

松本 龍樹

株式会社MCO 代表取締役/宅地建物取引士。代表プロフィールを見る