この記事の結論
YouTube動画にも宅建業法・不動産公正競争規約が適用されます。サムネイル・タイトル・概要欄・ハッシュタグで「完全」「最高」「格安」等の特定用語を使うと誇大広告として指示処分のリスクがあります。個別物件を紹介する場合は取引態様・免許番号の明示が必須です。公開前30分の確認で違反リスクを防げます。
誇大広告とおとり広告の禁止
宅建業法第32条は、宅建業者が「業務に関して広告をするとき」に適用されます。YouTube動画も広告の一形態として規制対象です。以下の用語は根拠がなければ使えません。
| 用語 | 使用基準 | 使える例 |
|---|---|---|
| 完全・完璧・絶対 | 使用禁止(例外なし) | - |
| 最高・最上級・最大・最小・最安 | 客観的事実に基づき、根拠を示す場合のみ可 | 「当社実績で最高価格」 |
| 格安・掘り出し物・投げ売り価格 | 使用禁止 | - |
違反した場合、都道府県知事から指示処分を受けるリスクがあります。指示処分は公表され、会社の信用に影響します。サムネイルに「完全無料査定」と書くだけで指示処分のリスクがあるため、公開前の確認が必須です。
誇大広告とおとり広告の違い
誇大広告
- 性質: 表現の誇張
- 典型例: 「最高の立地」「完全無料」「格安物件」
- 問題点: 客観的根拠がないのに最上級表現を使い、実際より良く見せる
- 違反基準: 根拠を示さず特定用語を使用
- 処分: 指示処分・公表のリスク
おとり広告
- 性質: 物件の不存在または取引意思の欠如
- 典型例: 成約済み物件の掲載継続、架空物件、取引意思のない物件
- 問題点: 存在しない物件で顧客を誘引
- 違反基準: 物件が実在しないか取引できない
- 処分: 指示処分・公表のリスク
誇大広告は「盛りすぎ」、おとり広告は「存在しない」という違い。両方とも宅建業法32条で禁止
おとり広告は、物件が存在しないか、取引の意思がないにもかかわらず、顧客を誘引する手段として行う表示です。3類型は成約済み物件の掲載継続、架空物件、取引意思のない物件です。成約事例として紹介する場合は、タイトル・サムネ・概要欄で「成約済み」と明記してください。
取引態様の明示と必要表示事項
宅建業法第34条は、広告を行う際に自社がその取引にどう関わるかを明示する義務を定めています。YouTubeでは概要欄に「取引態様: 媒介(仲介)」と記載します。
個別物件を紹介する広告では、以下の10項目を必ず表示します。
| 項目 | 記載例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 所在地 | 東京都港区○○ | 号地まで書く必要はない |
| 交通 | JR山手線新橋駅徒歩3分 | 80m=1分、端数切り上げ |
| 価格 | 3,980万円 | 消費税の要否を明示 |
| 土地面積 | 100.50㎡ | 小数第2位まで |
| 建物面積 | 85.24㎡ | 小数第2位まで |
| 築年 | 築15年 | 新築は「新築」と明記 |
| 構造 | 木造2階建 | 構造と階数をセット |
| 取引態様 | 媒介(仲介) | 売主・代理・媒介のいずれか |
| 免許番号 | 国土交通大臣(3)第○○号 | 概要欄に必ず記載 |
| 業者情報 | 株式会社○○、電話番号 | 会社名・連絡先 |
徒歩分数は80m = 1分で計算し、端数を1分に切り上げます。駅から200mの場合は「徒歩3分」です。坂道や信号待ちは考慮しません。
物件を特定しない一般的な解説動画(「市区の相場解説」「売却の流れ」等)では、取引態様・免許番号の明示は不要です。個別物件を紹介する場合のみ、概要欄に全項目を記載してください。
景品規制の具体的な計算方法
不動産公正競争規約では、取引に付随して提供する景品類の限度額が定められています。成約謝礼キャンペーンや紹介プログラムを実施する場合は、以下の基準を守ってください。
| 取引価額 | 景品類の最高額 | 計算例 |
|---|---|---|
| 1,000万円未満 | 取引価額の10% | 500万円の物件なら50万円まで |
| 1,000万円以上 | 10万円 | 3,000万円の物件でも10万円まで |
紹介プログラムで「1件につき商品券10万円」は、取引価額1,000万円以上なら上限ギリギリで可能ですが、1,000万円未満の物件紹介では規約違反になります。取引価額が確定する前にキャンペーンを設計する場合は、10万円を上限とする設計にしてください。
景品規制は、顧客の合理的な判断を歪めることを防ぐための規定です。過度な景品提供は、サービス品質を比較する前に景品だけで意思決定させてしまうため、業界全体の信頼を損ねます。
動画内で成約謝礼キャンペーンを告知する場合、概要欄に景品規制の上限を明記することで、視聴者に誤解を与えません。「成約1件につき最大10万円」と明記すれば、取引価額に応じた上限が適用されることが伝わります。
YouTube公開前のチェックリスト
YouTube公開前チェックリスト(4箇所の確認項目)
追加確認: 成約謝礼キャンペーンは景品規制の上限(1,000万円未満は10%、1,000万円以上は10万円)を守る。成約済み物件紹介時は「成約済み」と明記
サムネイル・タイトル・概要欄・ハッシュタグの4箇所で最上級表現(最高・完全・絶対・格安)を避け、個別物件を紹介する場合は概要欄に取引態様・免許番号・会社情報を記載します。公開前の30分確認で、以下の順に進めてください。
- サムネイルで最上級表現・誇大表現を使っていないか(「完全」「最高」「格安」「絶対」を目視確認)
- タイトルで「完全」「最高」「格安」等の特定用語を使っていないか(タイトル全文を読み上げて確認)
- 概要欄に取引態様・免許番号・会社情報を記載したか(個別物件を紹介する場合のみ。一般的な解説動画は不要)
- ハッシュタグで最上級表現を使っていないか(「#格安物件」「#最高の査定」等を検索して削除)
- 成約謝礼キャンペーンを実施する場合、景品規制の上限を守っているか(1,000万円未満は10%、1,000万円以上は10万円)
- 成約済み物件を紹介する場合、「成約済み」と明記したか(タイトル・サムネ・概要欄の3箇所)
台本作成から公開までの流れは、以下の順に進めてください。
不動産会社のYouTube台本、6つの型で反響を取る方法で台本を作成します。
対談式YouTube動画で視聴維持率を上げる8つのルールで撮影の型を固めます。
撮影後、編集が完了したら、本記事のチェックリストで規制を確認してから公開してください。
売主が検索する5大理由と、それぞれの動画企画20本でテーマを選定し、訳あり物件を売る3つのケースと実務の線引きで権利関係の注意点を確認できます。
よくある質問
Q. YouTubeのサムネイルに「最高の査定価格」と書いても大丈夫ですか?
A. 「最高」は最上級表現であり、客観的な根拠を示さない限り使用できません。「当社実績で最高価格」のように根拠を併記するか、「駅徒歩3分の好立地」等の事実表現に言い換えてください。
Q. 物件を紹介しない一般的な解説動画でも取引態様の明示は必要ですか?
A. 物件を特定しない一般的な解説動画(「市区の相場解説」等)では不要です。個別物件を紹介する場合のみ、概要欄に取引態様・免許番号・会社情報を記載してください。
Q. 成約済みの物件を「成約事例」として動画で紹介するのは問題ありますか?
A. 成約事例として紹介すること自体は問題ありませんが、タイトル・サムネ・概要欄で「成約済み」と明記してください。販売中と誤認させるとおとり広告に該当します。
Q. 「紹介1件につき商品券10万円プレゼント」は景品規制に引っかかりますか?
A. 取引価額が1,000万円以上の場合、景品類の最高額は10万円までです。商品券10万円は上限ギリギリですが可能です。ただし、取引価額が1,000万円未満の場合は取引価額の10%までとなります。
Q. YouTubeのハッシュタグに「#格安物件」と書くとNGですか?
A. 「格安」は使用禁止の特定用語です。安さを強調する場合は「相場より○○万円お得」のように客観的な比較対象を示す必要があります。ハッシュタグでは「#地域名不動産売却」等の事実表現を使用してください。
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