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欧米型事業承継と日本の節税偏重の違い

欧米型は親世代の資金を子世代に貸付け、運用で承継します。日本の節税偏重は資産をサイズダウンさせる構造で、50年・100年続けられる仕組みを選ぶべきです。

親世代から子世代へ資産を承継する欧米型ファミリービジネスの長期運用

この記事の結論

日本の事業承継は節税に偏重し、次世代に資産が縮小して受け継がれる構造を持ちます。欧米型は親世代の資金を子世代に貸付け、運用で承継する仕組みで、将来の相続税をカバーしてあまりある資金を準備します。10%の福利で20年運用すれば6.7倍、30年で17.5倍になるため、50年・100年続けられる仕組みを選ぶべきです。

日本の事業承継が抱える構造的問題

節税偏重の事業承継とは、相続時の高税率を抑えることに主に重きを置き、納税資金の準備に注力する設計のことです。日本の事業承継は、納税の金額をどう抑えるかという観点で設計されることが大半です。

しかし、この方法には構造的な問題があります。次世代に資産が縮小して受け継がれ、ファミリービジネスそのものが縮小する点です。節税に成功しても、資産のサイズダウンは避けられません。

機関投資家向け日本株運用の経験を持つ専門家は、長期運用と企業分析の視点で日本の事業承継の課題を指摘しています。資産を守るだけではなく、次世代が使える形で引き継ぐ仕組みが必要です。

日本型と欧米型の事業承継の構造比較

日本型(節税偏重)

  • 相続時の高税率を抑えることに注力
  • 納税資金の準備に重点を置く
  • 次世代に資産が縮小して受け継がれる
  • ファミリービジネスそのものが縮小

欧米型(運用で承継)

  • 親世代の資金を子世代に貸付
  • 子世代の資産管理会社が10%運用
  • 20年で6.7倍、30年で17.5倍に成長
  • 相続税をカバーしてあまりある資金を準備
図1 日本型と欧米型の事業承継の構造比較

欧米型の事業承継スキーム

欧米では、本業(水や空気となった事業)とは別に、親世代の資金を子世代に貸付け、子世代の資産形成を行う仕組みを当たり前に行っています。

ファミリーの事業の期間を通じて運用し、将来の相続税をカバーしてあまりある資金を準備します。この仕組みを支えるのが、10年・20年・30年伴走できる人材(ファミリーオフィスの番頭会社)です。

日本にはこうした人材が不足しています。証券会社の担当は毎年変わり、前任者が変わったら、再開できない状態です。欧米では、金融機関にこうした伴走者が存在し、長期で資産形成を支える構造があります。

日本でも、合同会社特命組合(GKTK)を活用した番頭会社として20〜30年伴走するスキームが登場しています。合同会社を活用し、パススルー課税で効率的に運用する仕組みです。ただし、一般的なファミリーオフィスは数億円以上の資産規模が必要で、中小企業の経営者には導入のハードルが高いのが現状です。

福利の力と時間軸

欧米型の事業承継が機能する理由は、福利の力にあります。10%の福利で20年運用すれば6.7倍、30年で17.5倍になります。

10%福利で長期運用する資産形成の時間軸

親世代
資金を子世代に貸付
子世代
資産管理会社で10%運用開始
20年後
6.7倍に成長
30年後
17.5倍に成長
相続時
相続税をカバーしてあまりある資金を準備

水や空気になった企業は20年・30年持ちこたえられるため、この時間軸で資産を形成できる

図2 10%福利で長期運用する資産形成の時間軸

水や空気になった企業(国民の安寧を支える企業)は、20年・30年持ちこたえられます。こうした企業が長期で持続する理由が、福利の力です。

福利 20年 30年
3〜4% ほぼ直線 -
10% 6.7倍 17.5倍
15% 16.4倍 66倍

この時間軸で子供のために使える資産を形成できるのが、欧米型の事業承継の鍵です。

50年・100年続けられる仕組みを選ぶべき理由

経済活動の目的は、国民の厚生(安寧+豊かさ)の増大です。一時的な成長率の高さではなく、国民の厚生増大を実現するやり方を50年・100年続けられるかどうかが鍵です。

事業承継も同じで、一時的な節税ではなく、50年・100年続けられる仕組みを選ぶべきです。親世代の資金を子世代に貸付け、運用で承継する欧米型のスキームは、この時間軸で設計されています。

株式会社ベースの資本主義は、形だけでなく思想を学ばなければ機能しません。事業承継においても、節税の技術だけでなく、長期で持続できる構造を設計する思想が必要です。

不動産会社の事業承継への応用

不動産会社の事業承継でも、節税偏重ではなく、運用で承継する仕組みを選ぶべきです。本業の不動産事業とは別に、親世代の資金を子世代に貸付け、運用で資産を形成する構造を持つことができます。

政策金利1.0%時代の不動産融資戦略で触れたように、2026年は融資姿勢の引き締まりが制度的に進むため、借入に頼らず運用で資産を形成する仕組みを選ぶべきです。売上・件数ではなく「1人当たり利益」を見る経営の視点で、次世代に引き継ぐ資産の質を高めることができます。

不動産会社の経営者が事業承継を考える際、節税だけを目的にするのではなく、50年・100年続けられる仕組みを選ぶべきです。欧米型のスキームは、この時間軸で設計されており、不動産会社にも適用できます。

富は社会に貢献した人にしか来ません。社会貢献を外すと家は繁栄しません。事業承継でも、次世代が社会と向き合う人になれるよう、資産の承継と社会貢献の2つがセットになる仕組みを選ぶべきです。

売主集客の3層モデル(直営×独占送客×一括査定)のように、不動産会社の事業モデルも長期で持続できる構造を持つべきです。事業承継も同じで、一時的な節税ではなく、長期で持続できる仕組みを選ぶことが、次世代に本当に引き継ぐべきものです。

よくある質問

Q. 欧米型の事業承継スキームは具体的にどのような仕組みですか

A. 本業とは別に、親世代の資金を子世代に貸付け、子世代の資産管理会社が運用します。ファミリーの事業の期間を通じて運用し、将来の相続税をカバーしてあまりある資金を準備する仕組みです。合同会社特命組合などを活用し、パススルー課税で効率的に運用します。

Q. 日本の節税偏重はなぜ資産をサイズダウンさせるのですか

A. 相続時の高税率を抑えることに主に重きを置くため、納税資金の準備に注力します。しかし、この方法では次世代に資産が縮小して受け継がれ、ファミリービジネスそのものが縮小する構造を持ちます。

Q. 10%の福利で30年運用すると本当に17.5倍になりますか

A. 10%の福利で20年運用すれば6.7倍、30年で17.5倍になります。水や空気になった企業(国民の安寧を支える企業)は20年・30年持ちこたえられるため、この時間軸で子供のために使える資産を形成できます。

Q. 不動産会社の事業承継にも欧米型スキームは使えますか

A. 本業の不動産事業とは別に、親世代の資金を子世代に貸付け、運用で承継する仕組みは不動産会社にも適用できます。ただし、最低投資金額や運用先の選定など、専門家との相談が必要です。

Q. なぜ50年・100年続けられる仕組みを選ぶべきなのですか

A. 経済活動の目的は国民の厚生増大です。一時的な成長率の高さではなく、国民の厚生増大を実現するやり方を50年・100年続けられるかどうかが鍵です。事業承継も同じで、一時的な節税ではなく、長期で持続できる仕組みを選ぶべきです。

相談窓口

不動産会社の事業承継は、節税だけを目的にするのではなく、50年・100年続けられる仕組みを選ぶべきです。株式会社MCOでは、不動産会社に特化した経営コンサルティングを行っており、事業承継の構造設計から実装まで伴走します。

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AUTHOR

松本 龍樹

株式会社MCO 代表取締役/宅地建物取引士。代表プロフィールを見る