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空き家判定の実地チェックリスト──「見つけに行く」ための現地ローラー実務

空き家判定は、ガスメーター撤去・ポスト養生・草木繁茂のうち1つで確定。撮影6枚(正面・右側面・左側面・前面道路右/左・証拠写真)と緊急度(高/中/低)を記録し、所有者への訴求材料を作ります。

空き家の外観を確認する様子

この記事の結論

空き家判定は、ガスメーター撤去・ポスト養生・草木繁茂のいずれか1つで確定します。現地では撮影6枚(正面・右側面・左側面・前面道路右/左・証拠写真)と緊急度(高/中/低)を記録し、所有者への訴求材料を作ります。机上では掴めない「度合い」「周辺環境」「緊急度」を現地で確認することが、空き家仕入れの第一歩です。

なぜ現地を歩くのか

現地ローラーは、机上で抽出した候補物件を「生きた情報」に変える工程です。机上のデータだけでは、以下の3つが掴めません。

空き家の「度合い」。完全放置なのか、週末だけ来ているのか、隣家が気にかけているのかは、登記情報や航空写真では判別できません。ガスメーターが撤去されているか、郵便物が溢れているかは、現地に行かなければ分かりません。

周辺環境と商品性。接道・日当たり・近隣の雰囲気・再建築可否の手がかりは、現地を見ることで初めて評価できます。同じ空き家でも、駅近で商品性が高い物件と、再建築不可で難易度が高い物件では、仕入れの優先順位が変わります。

緊急度。屋根が崩れかけている、庭木が隣地に越境している、ポストから郵便物が溢れている。こうした状態は、所有者へのアプローチ時に「早く手を打った方がいい」と訴求できる材料になります。

空き家判定の具体的なチェックリスト

現地で以下の項目を確認し、該当するものがあれば空き家と判定します。

1つ該当で空き家確定

以下のいずれか1つを確認したら空き家と判定します。

  • ガス/電気メーター撤去済み
  • ガスボンベ撤去済み・閉栓
  • ポストに養生がされている
  • 投函物が溢れている
  • ドアノブに埃が積もっている
  • 庭木が放置され、草木が繁茂して玄関に入れない状態
  • カーテンが全部外されている
  • 窓から室内を覗くと家具が一切ない

2つ該当で空き家確定

以下のうち2つ以上を確認したら空き家と判定します。

  • 昼間でも全ての雨戸・シャッターが閉まっている
  • 庭木が道路・隣地に越境している
  • 敷地内に放置された車両がある
  • 窓ガラスが割れたまま放置されている
  • 門扉にチェーンや針金が巻かれている
  • 裏手にゴミが投棄されている

空き家判定の現地フロー

01 外回りの確認 ガス/電気メーター・ポスト・庭木・カーテン・門扉を目視
02 確定判定 メーター撤去・ポスト養生・草木繁茂のいずれか1つ→空き家確定
03 複数項目の確認 雨戸・越境・放置車両・割れた窓・裏手のゴミ。2つ以上→空き家確定
04 除外判定 人の気配・洗濯物・手入れされた庭・新しい車両→リストから除外

敷地内に入らず、道路から目視で確認できる範囲で判定する

緊急度の分類と訴求への接続

屋根崩壊・越境・郵便物溢れ→近隣トラブル・倒壊危険→「早く手を打った方がいい」
外壁劣化・雨樋破損・窓ガラス割れ→放置すれば悪化→「今のうちに対策を」
構造的問題なし・越境なし→様子見で問題なし→保温リスト入れ
図1 空き家判定の現地フローと緊急度分類

空き家ではないと判定(記録から除外)

以下を確認したら、空き家ではないと判定し、リストから除外します。

  • 人の出入りや気配がある
  • 洗濯物が干してある
  • 庭の草木が手入れされている
  • 新しい車両が停まっている
  • 回覧板が掛かっている
  • ポストが使用可能な状態で郵便物が整理されている

撮影と記録の実務

空き家と判定した物件は、以下の写真と記録を作成します。

撮影の基本(最低6枚・横長)

  1. 物件外観(正面) — 建物全体が写るように引きで撮る
  2. 物件外観(右側面) — 隣地との境界が分かるように
  3. 物件外観(左側面) — 同上
  4. 建物と前面道路(右から) — 接道状況を記録
  5. 建物と前面道路(左から) — 同上
  6. 空き家と特定できる証拠写真 — メーター撤去跡・ポスト溢れ・草木繁茂など

撮影の注意点。横長で撮る(縦長は資料化しにくい)。敷地内に入らない(不法侵入になる)。明るい時間帯に撮る(夕方・曇天は判別困難)。カメラの日付設定を確認しておく(撮影日時が分かるように)。

記録項目(1物件=1行のスプレッドシート管理)

項目 記入内容 備考
発見日 YYYY-MM-DD 撮影日
住所 〇〇市〇〇町1-2-3 住居表示で記録
建物種別 戸建 / 店舗付住宅 / 長屋 1階が店舗・事務所でも対象
空き家判定根拠 メーター撤去・草木繁茂 等 複数あれば全部記録
接道状況 4m公道・南側 等 道路幅員と方位を記録
目視での建物状態 外壁劣化・屋根瓦ずれ 等 商品性判断の材料
緊急度 高 / 中 / 低 高=近隣トラブル・倒壊危険
所有者調査状況 未 / 調査中 / 完了 次工程への接続
DM送付状況 未 / 送付済 / 反応あり 次工程への接続
備考 隣地住民から情報提供あり 等

スプレッドシートは、Googleスプレッドシートで管理します。その日のうちに記録を整理することが鉄則です。翌日以降は記憶が曖昧になります。

撮影6枚の位置と目的

  1. 正面建物全体を引きで撮る(建物種別・外観状態の把握)
  2. 右側面隣地との境界を記録(越境・接道状況の確認)
  3. 左側面同上
  4. 前面道路(右から)接道状況を記録(道路幅員・方位の把握)
  5. 前面道路(左から)同上
  6. 証拠写真メーター撤去跡・ポスト溢れ・草木繁茂など空き家と特定できる根拠

横長・明るい時間帯・敷地外から撮影。撮影日時が記録されるようカメラ設定を確認

台帳への記録項目(1物件=1行)

現地で確定する項目

  • 発見日(撮影日)
  • 住所(住居表示)
  • 建物種別(戸建/店舗付/長屋)
  • 空き家判定根拠(複数あれば全部)
  • 接道状況(幅員・方位)
  • 目視での建物状態
  • 緊急度(高/中/低)

次工程への接続項目

  • 所有者調査状況(未/調査中/完了)
  • DM送付状況(未/送付済/反応あり)
  • 備考(隣地住民からの情報など)

その日のうちにGoogleスプレッドシートに記録。翌日以降は記憶が曖昧になる

図2 撮影6枚の位置と台帳記録項目

巡回ルートの組み方

商圏全域を「区画」に分け、1区画=1日で巡回できる範囲に設定します。

1日の巡回可能件数

実務上の目安は以下の通りです(1軒5分×移動時間)。

  • 徒歩巡回: 20〜30軒
  • 自転車巡回: 30〜50軒
  • 車巡回: 50〜80軒(ただし狭い路地は入れないため徒歩併用)

区画の設定と優先順位

商圏を5区画程度に分割し、優先順位を設定します。

区画 エリア 巡回頻度 優先順位 理由
A 〇〇町1〜3丁目 毎月第1週 高齢化率高い・空き家多い
B 〇〇町4〜6丁目 毎月第2週 駅近・商品性高い
C △△地区 毎月第3週 相続未登記物件が多い
D ××地区 毎月第4週 新興住宅地・空き家少ない
E ○○団地 四半期に1回 団地の老朽化進行中

優先順位の基準は、空き家率が高い・高齢化率が高い・相続案件が多い地域を「高」、駅近・商品性が高い・空き家が一定数ある地域を「中」、新興住宅地・空き家がほとんどない地域を「低」とします。

巡回ルートの作り方

  1. Googleマップに候補物件をピン打ち — 机上調査で抽出した住所を入力
  2. 効率的な順路を設定 — 住宅地図を見ながら、U字型・円形ルートを組む
  3. 1日の目標件数を設定 — 30件/日を目標にする(初回は20件でも可)
  4. 巡回中に新規発見を追加 — リストにない空き家を発見したら、その場でスマホに記録

初回巡回(商圏の悉皆調査)では、商圏全域を3ヶ月以内に1周し、100〜300件の空き家候補リストを作成することを目標にします。定期巡回では、優先度高エリアは月1回、優先度中エリアは四半期に1回、優先度低エリアは半年に1回の頻度で、新規空き家の発見と既存空き家の状態変化を追跡します。

緊急度の分類と訴求への接続

現地で確認した空き家の状態から、緊急度を3段階で分類します。

緊急度「高」

屋根が崩れかけている、庭木が隣地に越境している、ポストから郵便物が溢れている。近隣トラブルや倒壊危険がある状態。所有者へのアプローチ時に「早く手を打った方がいい」と訴求できる材料になります。

緊急度「中」

それ以外で早期対応が望ましいもの。外壁の劣化が進んでいる、雨樋が壊れている、窓ガラスが割れている。今すぐの危険はないが、放置すれば状態が悪化する可能性がある物件。

緊急度「低」

様子見で問題ない状態。建物は古いが構造的な問題は見られない、庭木は伸びているが越境はしていない。将来的な売却候補として保温リストに入れておく物件。

緊急度を記録することで、所有者調査後のDM送付や電話アプローチ時に、物件ごとに最適な訴求ができます。緊急度「高」の物件には「近隣からの苦情が入る前に」という切り口、緊急度「中」の物件には「今のうちに対策を」という切り口が有効です。

外注型発見(ご近所ワーク)

自分で回る時間がない場合、現地ワーカーに空き家の外観撮影を依頼できる外注型サービス「ご近所ワーク」があります。

実務上の目安として、調査費用は1件あたり¥1,200〜¥1,500程度、納品物は写真6枚 + 空き家判定の根拠、発注から7〜14日程度で納品されます。最新の料金体系は各サービス提供事業者にご確認ください。

使いどころは、商圏が広すぎて自分で回りきれない、遠隔地の空き家を調査したい、定期巡回を自動化したいケースです。

発注の流れは、候補物件リスト(住所・緯度経度・固有ID)を作成し、ご近所ワークに送付。管理画面からCSVで納品された後、空き家と判定された物件のみ所有者調査に進みます。

よくある質問

Q. 空き家かどうかを確実に判定するには、どの項目を確認すればよいですか?

A. ガスメーター撤去・ポスト養生・草木繁茂のうち1つでも確認できれば空き家と判定できます。昼間でも雨戸が閉まっている・庭木が越境している・窓ガラスが割れているなどは2つ以上の該当で空き家と判定します。

Q. 撮影は何枚必要ですか?

A. 最低6枚です。物件正面・右側面・左側面・前面道路を右から・前面道路を左から・空き家と特定できる証拠写真(メーター撤去跡・ポスト溢れなど)を横長で撮影してください。

Q. 緊急度の分類基準を教えてください。

A. 屋根が崩れかけている・庭木が隣地に越境している・ポストから郵便物が溢れているなど近隣トラブルや倒壊危険がある場合を「高」、それ以外で早期対応が望ましいものを「中」、様子見で問題ない状態を「低」とします。

Q. 1日に何軒ほど巡回できますか?

A. 徒歩で20〜30軒、自転車で30〜50軒、車で50〜80軒が目安です。ただし車は狭い路地に入れないため、徒歩と併用する必要があります。

Q. 現地に行かずに空き家を判定する方法はありますか?

A. 机上調査(登記情報・航空写真・水道閉栓情報など)である程度の候補を絞り込むことはできますが、空き家の「度合い」「周辺環境」「緊急度」は現地を見ないと掴めません。机上調査は候補抽出、現地ローラーは確定と訴求材料づくりの役割です。

相談窓口

空き家の発見から所有者調査、売却提案までの一連のフローを社内で回せるようにするには、現地ローラーの仕組み化が第一歩です。記録したデータを蓄積し、AI活用診断や経営判断の材料として活用していくことで、空き家仕入れの精度と効率が上がります。

生成AIを貴社の業務にどう組み込むかは、扱う物件・組織の規模・現在の業務フローによって最適解が変わります。株式会社MCOでは、不動産・建設業に特化したAI経営コンサルティングと実装代行、社内定着までの伴走を行っています。まずは公式LINEからお気軽にご相談ください。

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AUTHOR

松本 龍樹

株式会社MCO 代表取締役/宅地建物取引士。代表プロフィールを見る