この記事の結論
空き家DM発送を有償化し、仕入れ(買取)の入金が後ろにずれる空き家事業で先に立つ収益を確保できます。竹プラン¥4,000/通(原価約¥2,000/通・粗利率50%)を本命に、反響率1〜3%なら100通で1〜3件の反響が立ち、1件成約で発送費¥40万を回収します。川上でキャッシュを回し、川下の成約で追加利益を積む構造です。
空き家所有者へのDM発送を有償サービスにする意味
空き家の仕入れ(買取)は入金が後ろにずれるため、手前の調査・発送を有償化して先に立つ収益を確保します。発送で作った反響がそのまま仕入れのパイプラインになり、発送代行費で先に回収しながら川下の買取成約で追加利益を得る構造です。
全国の空き家総数は約900万戸(令和5年推計)、そのうち「その他の住宅」(賃貸用・売却用でない放置空き家)は約380万戸あります。2024年4月から相続登記が義務化されましたが、相続未登記の空き家は大量に残存しており、この層へのアプローチは今後10年以上続く需要です。
3段階のプラン設計と価格階層の作り方
空き家所有者へのDM発送サービスは、顧客の体制と予算に合わせて3段階のプランを用意します。
梅プラン(リスト提供のみ) ¥2,000/件
空き家リスト(住所+写真+判定)を納品するのみ。発送は顧客が自社で行います。自社で発送まで対応できる買取業者・仲介業者向けで、データベースだけ欲しい層が対象です。
竹プラン(発送代行・本命) ¥4,000/通
調査+所有者特定+レター作成+郵送を全て込みで代行します。初期設計費¥50,000(初回のみ)、最低ロット100通/月〜の設定で、粗利率50%を確保する本命プランです。
松プラン(反響獲得) 月¥10万+¥4,000/通+反響¥10,000/件
竹プランに加えて、反響受付・アポ設定・月次レポートまで提供します。反響獲得まで完全に委託したい業者向けで、反響が立つたびに従量課金が乗る設計です。
3段階プランと価格階層の比較
| 項目 | 梅プラン | 竹プラン(本命) | 松プラン |
|---|---|---|---|
| 価格 | ¥2,000/件 | ¥4,000/通 | 月¥10万 +¥4,000/通 +反響¥10,000/件 |
| 提供内容 | リスト提供のみ (発送は顧客が自社で実施) |
調査+所有者特定 +レター作成 +郵送を全て代行 |
竹プランの内容 +反響受付 +アポ設定 +月次レポート |
| 原価 | 約¥1,000/件 | 約¥2,000/通 | 約¥2,500/通 |
| 粗利率 | 約50% | 約50% | 約40%〜 |
| 対象顧客 | 自社で発送まで 対応できる業者 |
調査から発送まで 一括で任せたい業者 |
反響獲得まで 完全に委託したい業者 |
竹プランが事業の柱。最低ロット100通/月、初期設計費¥50,000(初回のみ)
この3段階のうち、竹プランが事業の柱になります。調査から発送まで一括で任せたいという買取業者のニーズが最も多く、価格も¥4,000/通なら「自社でやるより安い」と判断されやすい水準です。
原価構造と粗利率5割前後の価格の置き方
竹プラン¥4,000/通は、原価約¥2,000/通(調査・印刷・郵送の積み上げ)で粗利率50%を確保する設計です。
原価を積み上げると、以下の構造になります。
調査費・印刷封入・郵送の3つを積み上げる
| 項目 | 単価 | 備考 |
|---|---|---|
| 所有者特定原価 | ¥150〜¥350 | 登記情報提供サービス所有者事項¥140、全部事項¥330 |
| レター印刷 | ¥50〜¥100 | A4カラー印刷1枚+封筒 |
| 封入作業 | ¥30〜¥50 | 手作業または封入機 |
| 郵送費 | ¥84〜¥120 | 定形外郵便25g以内¥84、50g以内¥120 |
| その他(管理費等) | ¥100〜¥200 | システム・人件費按分 |
| 合計 | 約¥2,000/通 |
竹プラン¥4,000/通に対して原価約¥2,000/通なら、粗利は約¥2,000/通(粗利率50%)です。所有者特定原価¥150〜¥350/件の内訳は、登記情報提供サービスの所有者事項¥140または全部事項¥330です。まず所有者事項¥140で取得し、相続未登記や抵当権が疑われる時だけ全部事項¥330に上げることで、コストを最適化します。地番変換は法務局への電話照会なら無料です。
反響率1〜3%での採算計算
反響率1〜3%なら100通で1〜3件の反響が立ち、1件成約すれば発送費¥40万を回収できます。
100通発送したときの採算ラインを計算します。
100通発送時の収支
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 売上 | ¥4,000/通 × 100通 | ¥400,000 |
| 原価 | ¥2,000/通 × 100通 | ¥200,000 |
| 粗利 | 粗利率50% | ¥200,000 |
反響率1〜3%なら、100通で1〜3件の反響が立ちます。この反響を川下の買取業者に渡し、1件が成約すれば発送費¥400,000を回収できる構造です。
100通発送時の採算計算フロー(反響率1〜3%)
原価¥200,000
粗利¥200,000
川下の買取業者へ
リスト提供
+紹介料または
共同仲介で追加利益
反響が0件でも粗利¥200,000は確保済み。次の100通で黒字転換する設計
反響が1件も立たなかった場合でも、粗利¥200,000は確保できているため、発送費の半分は先に回収済みです。次の100通で反響が立てば累積で黒字に転じる設計になります。
反響率を上げるためのレター設計は別途重要ですが、ここでは「1〜3%で成立する」という前提でプライシングを行います。反響率が5%を超えれば大きく利益が伸びますが、保守的に1〜3%を基準にすることで、安定した事業計画を立てられます。
川上キャッシュポイント戦略の意味
空き家仕入れ事業のファネルは、川上(調査・特定・発送)、壁(権利処理)、川下(仕入れ)の3層に分かれます。
| 工程 | 担当 | 役割 |
|---|---|---|
| 川上(調査・特定・発送) | 調査代行・発送代行業者 | データとリード製造・先行キャッシュ |
| 壁(権利処理) | 不動産鑑定士・司法書士 | 相続未登記・所有者不明の解錠 |
| 川下(仕入れ) | 買取業者 | 解体・買取・再販で現金化 |
川上を有償化することで、買取業者は反響リストだけ受け取って仕入れに集中でき、成約時に紹介料または共同仲介の形で利益を分配します。この構造は売主集客の仕組みと共通で、反響製造を有償化して先に回収する考え方です。
所有者特定フローの自動化
所有者特定フローは、地番変換→登記取得→状態判定→名寄せ・DM生成の4ステップです。
STEP1 地番変換 — 登記情報提供サービスの地番検索(無料)、法務局への電話照会(無料)で実施。
STEP2 登記取得 — 登記情報提供サービスで所有者事項¥140または全部事項¥330をオンライン取得。
STEP3 状態判定 — 取得した登記情報から、所有者を4区分(A生存/B転居疑い/C相続未登記/D所有者不明)に分類。AとBは発送リストに、CとDは鑑定士へエスカレします。
| 区分 | 状態 | 処理 |
|---|---|---|
| A | 生存・登記住所が現住所らしい | 宛先確定 → 発送リスト |
| B | 登記住所が空き家と同一/古い(転居疑い) | まず登記住所へ送付 |
| C | 登記名義人が死亡(相続未登記) | 不動産鑑定士/司法書士へエスカレ |
| D | 所有者不明(相続人不存在・不在) | 不動産鑑定士へエスカレ |
STEP4 名寄せ・DM生成 — ゼンリン住宅地図APIで同一所有者の複数物件を名寄せし、AIでレター文面を生成。文面は所有者の状況に合わせてパターンを使い分けます。
50件超の登記取得・名寄せはバッチ化し、個人情報保護を徹底します。
空き家発見の外注化(ご近所ワーク)
現地ローラーを外注化することで、自社で回りきれない商圏の空き家発見を加速できます。空き家かどうかの判定基準を事前に固めておくことで、外注先との認識ズレを防げます。ご近所ワークは、現地ワーカーに空き家の外観撮影を依頼できる外注型サービスで、費用は約¥1,300/件(調査¥1,200+スクリーニング¥100)、納品物は写真6枚+空き家判定の根拠です。候補物件リストを送付し、管理画面からCSV納品を受け、空き家と判定された物件のみ所有者調査に進みます。
反響率を上げるレター設計の原則
空き家所有者が放置する理由は、「どこから手をつけていいかわからない」「残置物が片付かない」「相続登記がまだ終わていない」「売るとかえって損するのでは」「思い出の家なので手放したくない」など10パターンに集約されます。レター文面は、この中で最も刺さりやすい訴求(固定資産税6倍リスク・手取り計算シート・非公開売却など)を選び、1レター1メッセージに絞ります。
特定空家等に指定されると住宅用地特例が解除され、固定資産税が最大6倍になります。例えば評価額1,000万円の土地なら、通常は年23,333円ですが、指定後は年140,000円に跳ね上がり、年間約12万円の増税です。この数字を初回レターの冒頭に置くことで、「放置していると損する」という緊急度を伝えられます。なお、個別の税額計算は物件や自治体によって異なるため、最新の要件は管轄の税務署または税理士にご確認ください。
よくある質問
Q. 空き家所有者へのDM発送を有償サービスにするメリットは何ですか?
A. 空き家の仕入れ(買取)は入金が後ろにずれますが、手前の所有者調査・DM発送を有償化することで先に立つ収益を確保できます。発送で作った反響がそのまま仕入れのパイプラインになるため、川上でキャッシュを回しながら川下の買取につなげる構造を作れます。
Q. 反響率1〜3%で採算が取れるのはなぜですか?
A. 100通発送で反響1〜3件、そのうち1件が成約すれば発送費¥40万を回収できる設計です。竹プラン¥4,000/通の原価が約¥2,000/通で粗利率50%のため、反響が1件でも立てば発送コストは賄え、成約1件で利益が確定します。
Q. 所有者特定の原価はどの程度かかりますか?
A. 登記情報提供サービスの所有者事項が¥140/件、全部事項が¥330/件です。地番変換は法務局電話照会なら無料、ゼンリン住宅地図やブルーマップを使う場合は閲覧費用がかかります。合計で1件あたり¥150〜¥350が特定原価の目安です。
Q. 梅・竹・松の3段階プランはどう使い分けますか?
A. 梅(リスト提供のみ¥2,000/件)は自社で発送まで対応できる業者向け、竹(発送代行¥4,000/通)は調査から発送まで一括で任せたい業者向け、松(月¥10万+¥4,000/通+反響¥10,000/件)は反響受付・アポ設定まで完全に委託したい業者向けです。本命は竹プランで、粗利率50%を確保します。
Q. DM発送後の反響をどう仕入れにつなげますか?
A. 発送代行で得た反響リストを川下の買取業者(提携先)に渡し、買取成約時に紹介料または共同仲介の形で利益を得る仕組みです。川上(調査・発送)と川下(買取)を分業し、川上の発送代行費で先に回収しながら川下の成約で追加利益を積み上げます。
相談窓口
空き家仕入れの川上キャッシュポイント戦略は、所有者調査・発送代行・反響管理の3工程をどう自動化するかで採算が変わります。生成AIを貴社の業務にどう組み込むかは、扱う物件・組織の規模・現在の業務フローによって最適解が変わります。株式会社MCOでは、不動産・建設業に特化したAI経営コンサルティングと実装代行、社内定着までの伴走を行っています。まずは公式LINEからお気軽にご相談ください。