この記事の結論
外注1本5〜10万円の物件紹介動画は、月2.3万円定額の構成で月10本ペース内製が可能です。ローカルAI(H3)で試作し、当たりのみクラウドで仕上げる運用で、30秒×5本の原価が約5,500円に収まります。ただし、企画・プロンプト設計のノウハウが社内に蓄積されない状態では、原価が下がるだけで価値は生まれません。
外注1本5〜10万円の現実と、内製化で変わること
動画内製化とは、外注していた動画制作を社内で行う体制に切り替えることです。外注1本5万円 × 月10本 = 月50万円が、月2.3万円 + 社内の企画・編集時間に変わります。
物件紹介動画の外注相場は1本5〜10万円、会社紹介動画なら10〜30万円です。この原価構造は撮影機材・編集作業・ディレクション費用で構成され、外注先は1本あたりの工数を回収するため単価を下げることが難しい構造です。
内製化すると、機材費用は動画生成AIのサブスクリプションに置き換わり、編集作業はAI生成クリップの組み合わせに変わります。ただし、「企画・プロンプト設計のノウハウが社内に蓄積される」ことが前提です。外注先にプロンプトを投げるだけでは、原価が下がるだけで価値は生まれません。
月2.3万円の課金構成と内訳
4つのクラウドサービスとローカルAI環境を組み合わせることで、月2.3万円の構成が実現します。
| サービス | 月額目安 | 役割 |
|---|---|---|
| Higgsfield Plus | 約7,500円 | 30+モデルを定額クレジットで試せる。多モデル比較テスト用 |
| Replicate | 約4,500〜7,500円 | Kling 3.0 / Veo 3.1等を本番品質で生成 |
| MiniMax公式API | 約3,000円 | H3の2K版。音声込みで最安クラス |
| Segmind | 約3,000円 | Seedance 2.5がfal.aiの約半額 |
| ローカルH3 | 0円 | 試行錯誤・量産・プロンプト研究 |
| 合計 | 約22,000〜25,000円 | 予算5万円の半分以下 |
用途別の使い分け: ローカルAI vs クラウド
ローカルH3で可能
- プロンプト研究・試作
原価0円・失敗コスト0 - VSEO量産の初稿
無制限に試せる - 構図出し
〜768p級で十分 - 編集用素材
解像度より量が優先
クラウド必須
- 納品動画(1080p以上)
Seedance 2.5 / Veo 3.1 - カメラワーク演出
Higgsfield Director Mode - 2K仕上げ
MiniMax H3公式API 2K版 - 多モデル比較テスト
Higgsfield Plus 30+モデル
試作はローカルで原価0円、納品品質はクラウドで仕上げる使い分けが基本
段階導入はHiggsfield Plus + Replicateから開始(月約1.2万円)し、足りない部分をMiniMax公式API / Segmindで補完します。ローカルH3はRTX 4090以上のGPUがあれば原価0円で回し放題です。
30+モデルの価格早見表
5秒クリップ単価は$0(ローカルH3)〜$2.31(Seedance 2.5 fal経由)まで、モデルと経路で大きく変わります。
| モデル/経路 | 5秒クリップ単価 | 解像度 | 音声 |
|---|---|---|---|
| ローカルH3 | $0 | 〜768p級 | 込み |
| MiniMax H3公式API 768p | $0.40 | 768p | 込み |
| Kling 3.0公式 720p | $0.42〜0.63 | 720p | なし/あり |
| Kling 2.6 Pro (fal) | $0.35/$0.70 | 1080p | なし/あり |
| MiniMax H3公式API 2K | $0.65 | 2K | 込み |
| Seedance 2.5 (Segmind) 720p | $1.19 (30秒$7.12) | 720p | 込み |
| Veo 3.1 (Gemini API) | $0.40〜3.00 | 720p〜 | 条件次第 |
| Seedance 2.5 (fal) 720p | 約$2.31 | 720p | 込み |
Seedance 2.5は、プロバイダ間で約2倍の価格差があります(Segmind < fal)。同じモデルでも経路によって原価が変わるため、AIツールの選び方と情報の線引きで示した型と同じく、複数の経路を比較してから決める必要があります。
ローカルAI(H3)とクラウドの使い分け
試作・構図出しはローカルH3で原価0円、納品品質の仕上げはクラウドで高解像度に再生成する使い分けが基本です。
| 用途 | 第一候補 | 理由 |
|---|---|---|
| プロンプト研究・試作 | ローカルH3 | 無料。失敗コスト0 |
| VSEO量産 | ローカルH3 → H3公式API 2K | 量産は原価0が有利 |
| 納品動画(高品質) | Seedance 2.5 (Segmind) / Veo 3.1 | 30秒ワンショット+音声込み |
| カメラワーク凝った演出 | Higgsfield (Director Mode) | シネマティックカメラプリセット |
この使い分けは、不動産会社の業務地図の3層分類(完全自動化/半自動化/自動化禁止)と同じ構造です。試作は完全自動化、納品品質は人間の確認必須、企画は自動化すべきでない線引きです。
RTX搭載PCでの実測時間と量産計画
RTX 5090 Laptop 24GBでは、864×480(0.4MP)が約4分、1376×768(1.0MP)が約18分で生成されます。
| 解像度 | MP | 生成時間 | 用途 |
|---|---|---|---|
| 864×480 | 0.4 | 約4分 | 試作・構図出し |
| 1376×768 | 1.0 | 約18分 | 納品候補 |
5秒クリップ・24fps・音声付きの条件です。シードを固定すれば、解像度だけ上げて同一内容の高解像度版が得られます。
月10本ペース内製の実測ワークフロー
約40分
企画判断
約36分
月5サイクルで10本
生成待ち時間は他業務と並行可。月10本ペースなら合計約6.3時間の生成時間
運用方針は、0.4MPで量産→選別→当たりだけ1.0MPです。0.4MPで10本生成(約40分)→2本に絞る→1.0MPで2本再生成(約36分)で、合計76分で2本の納品候補が完成します。月10本ペースなら5サイクル × 76分 = 約6.3時間の生成時間です。生成待ち時間は他の業務と並行できます。
動画AI内製化の3段階とコスト
内製化は3つの段階に分けて進めます。第1段階はツール導入(Higgsfield Plus + Replicateで月約1.2万円)、第2段階はプロンプトテンプレート作成と編集ワークフローの標準化(月10〜20時間)、第3段階は月10本ペースの量産体制確立(月2.3万円の課金 + 社内2人 × 月20時間)です。
外注50万円/月と比較すると月47.7万円の削減ですが、社内の時間投資(月40時間)は別途必要です。
月10本ペースで内製する投資対効果
月10本ペースなら、金銭コスト削減47.7万円に対し社内稼働が月40時間増えます。時給換算で5,000円なら純便益は月27.7万円、10,000円なら月7.7万円です。
| 項目 | 外注 | 内製 |
|---|---|---|
| 金銭コスト | 50万円/月 | 2.3万円/月 |
| 社内稼働 | 月2時間 | 月40時間 |
| ノウハウ蓄積 | 外注先に残る | 社内に残る |
| 追加発注の柔軟性 | 1本5万円 | 原価ほぼ0円 |
ただし、この試算には「ノウハウ蓄積が社内に残る」価値が含まれていません。内製化すると、どのプロンプトが当たりやすいか、どの構図が反響を取りやすいかが社内に蓄積され、追加発注の原価がほぼ0円になることと合わせて長期的な競争優位になります。
AI活用診断ツールの実装で示した「1人当たり月間削減時間でS≥20h判定」の型と同じく、月40時間の稼働を他業務に振り向けられるかが内製化の成否を分けます。メディア掲載実績レポートの自動化と組み合わせれば、動画制作と実績報告の両方を内製化できます。
内製化の限界と、外注に戻すべき境界線
内製化すべきでない条件は4つです。月2〜3本以下の頻度なら外注のまま(月15万円 vs 内製2.3万円+社内稼働)のほうが安い場合があります。企画・プロンプト設計を担当できる人がいない場合、内製化しても原価が下がるだけで価値は生まれません。
RTX 4090以上のPCを持っていない場合、追加投資(約30〜50万円)の判断が必要です。クラウドのみの運用でも月1.2万円で開始できますが、量産には向かず月10本ペースなら原価が上がります。
納品品質が1080p以上・尺が60秒以上・カメラワークが複雑な条件では、クラウドで仕上げる原価が上がり、生成時間も長くなります。内製化の判断は、頻度・ノウハウ蓄積・投資判断・納品品質の4軸で決めます。
よくある質問
Q. 外注1本5万円の動画を内製化すると、どれくらいコストが下がりますか。
A. 月2.3万円の課金構成で月10本ペースなら、1本あたり約2,300円に収まります。外注1本5万円と比較すると約22分の1です。ただし、企画・プロンプト設計・編集作業の時間は別途必要です。
Q. ローカルAI(H3)だけで完結させることはできますか。
A. 試作と構図出しはローカルで完結しますが、解像度は〜768p級です。1080p以上の納品が必要な場合は、当たりをクラウド(MiniMax公式API 2K版やVeo 3.1等)で仕上げる運用が現実的です。
Q. RTX搭載PCは必須ですか。それ以外のPCでもできますか。
A. ローカルAI(H3)を使う場合はRTX 4090以上が必須です。持っていない場合は、クラウドのみの運用(Higgsfield Plus + Replicate)でも月1.2万円程度で開始できます。
Q. 月10本ペースで内製するには、何人の体制が必要ですか。
A. 企画・プロンプト設計に1人、生成・編集に1人の計2人で月10本は回せます。ただし、0.4MPで試作→選別→1.0MP再生成の運用を回すため、生成待ち時間の使い方が鍵になります。
Q. 内製化すべきでない境界線はどこですか。
A. 企画・プロンプト設計のノウハウが社内に蓄積されず、外注に依存し続ける状態なら内製化しても原価が下がるだけで価値は生まれません。月2〜3本以下の頻度なら、外注のままで問題ありません。
相談窓口
物件紹介動画の内製化は、頻度・ノウハウ蓄積・投資判断・納品品質の4軸で決めます。月10本ペースなら内製化の投資対効果が高く、月2〜3本以下なら外注のままが現実的です。
貴社の動画制作頻度・現在の外注コスト・社内の企画体制を踏まえて、内製化に踏み切るべきかを判断する材料が必要な場合は、ご相談ください。
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