この記事の結論
ラビーコア契約への自動転記は2026年8月に実機検証済みです。謄本・売買契約書・重説PDFをAIが読み取り、25項目をフォームに自動転記することで、手打ち3時間→AI転記15分に短縮できます。転記マッピング表の設計と、数値・住所・氏名の人間レビューポイントを押さえれば、全日会員以外の業界システムでも応用可能です。
ラビーコア契約とは何か
ラビーコア契約とは、全日本不動産協会(全日)が会員向けに提供する契約書類作成システムです。重要事項説明書と売買契約書を同一案件で作成でき、入力内容は自動保存され、PDF出力まで一貫して行えます。
全日会員専用のため、ログインには全日のID・パスワードが必要で、60分で自動ログアウトします。Chrome・Edge推奨で、Firefox・Safari では一部の機能が正常に動作しないことがあります。
画面URLは portal.rabbynet.zennichi.or.jp で、新規案件作成→書式選択→入力フォームの順に遷移します。入力フォーム本体のURLは tabdisp.php ですが、直アクセスするとPHPエラーになるため、必ず前段の書式確定を経由する必要があります。
手打ち3時間の実態と問題
契約書類の作成では、謄本・物件概要書・固定資産評価証明書・売買条件書など複数の資料から情報を拾い、ラビーネットの入力画面に転記します。1件あたりの入力項目は重説と契約書を合わせて200項目を超え、慣れた担当者でも3時間程度かかります。
転記ミスが起きやすい箇所は、地番(番の前・番の後を分割入力)、床面積(階ごとに分かれたセル)、建築時期(年号・年・月・日の4つのフィールド)です。特に床面積は「階」と「面積」の2つのテキスト欄が1セルに並んでいるため、順序を間違えると後段の計算式が崩れます。
さらに、ラビーネットは60分で自動ログアウトするため、途中でセッションが切れると入力内容が失われるリスクがあります。セクション切替で自動保存される仕様ですが、1セクションの入力に時間がかかると、保存前にログアウトする可能性があります。
AI自動転記の仕組み
AI自動転記は4段階で進みます。
1. 資料読取 謄本・物件概要書・固定資産評価証明書・売買契約書・重説のPDFをAIが読み取り、項目ごとに構造化します。
2. JSON化 読み取った情報を標準のJSON形式で保存します。1つの物件データJSON が、すべての書類と転記の正本になります。
3. フォーム入力 ブラウザ自動操作ツール(claude-in-chrome)を使い、ログイン済みのChromeタブでラビーネットの入力画面に値を入力します。1タブずつ入力し、保存してから次のタブに進みます。
4. 人間確認 すべての入力が完了したら、ラビーネットのPDFプレビューを出力し、元のJSONと突合します。数値・住所・氏名の3種類を最終確認し、不一致があれば手動修正します。
ラビーコア契約への自動転記フロー
工程1-3はAIが自動実行、工程4は人間が最終確認
ログイン情報をAIに渡す必要はありません。人間が事前にChromeでログインを済ませておき、AIはそのタブで入力作業だけを行います。
転記マッピング表の設計
転記マッピング表は、JSONのどのパスがラビー画面のどの項目に対応するかを定義した対応表です。2026年8月の実機検証で、25項目の対応を確定しました。
| 画面タブ/項目 | JSONパス | 出典書類 | 値の例 |
|---|---|---|---|
| 物件表示>土地>所在 | bukken.tochi.shozai | 謄本(土地)表題部 | 大阪市北区雲雀町一丁目 |
| 物件表示>土地>地番 | bukken.tochi.chiban | 謄本(土地)表題部 | 2番3 |
| 物件表示>土地>地積 | bukken.tochi.chiseki_m2 | 謄本(土地)表題部 | 100.25 |
| 物件表示>建物>床面積 | bukken.tatemono.yuka_menseki | 謄本(建物)表題部 | 1F 52.17 / 2F 43.41 |
| 代金>売買代金 | kingaku.baibai_daikin_yen | 契約条件 | 34,800,000 |
転記ミスが起きやすい3項目
正しい入力
- 地番「2番3」→「2」「3」に分割
- 床面積階→面積の順「1F」「52.17」
- 建築時期4分割「令和」「3」「6」「15」
間違えやすい例
- 地番「2-3」をそのまま入力
- 床面積面積→階の順で逆転
- 建築時期「2025年12月14日」を分けない
AI転記後、この3項目を画面とPDFの両方で目視確認
ラビー画面のフィールド命名規則は g<書式ID>_<連番>[行index] 形式です。たとえば、重説「不動産の表示」の土地セクションは g1010 系で、0010=所在、0020=地番(番の前)、0030=地番(番の後)、0040=地目、0050=地積、0060=持分となります。
床面積のセルは階と面積の2つのテキスト欄が1セル内に並んでいるため、順序を間違えないよう注意が必要です。フィールド番号は(0549=階、0551=約select、0550=面積)(0559、0561、0560)…のように3欄1セット×6で構成されています。
2025-12-14実機検証の実際
2025年12月14日、ログイン済みのChromeでラビーコア契約に新規案件「デモ物件 北区戸建売買」を作成し、書式16-1(一般仲介用・土地建物・売買代金固定)を選択しました。重説フォームの「取引業者等」「不動産の表示」の2セクションに入力し、保存・再読込後も値が保持されることを確認しました。
入力方式は2種類あります。form_input でref(要素参照)を指定する方法と、JavaScriptで name を指定して input イベントを発火させる方法です。どちらでも入力でき、保存後も値は保持されます。
カスタム見た目のチェックボックス(取引態様・測量図の有無など)は、座標をクリックしてONにします。セレクトボックス・ラジオボタンは、read_page で選択肢を確認してから選びます。
ネイティブ確認ダイアログを出すボタン(「決定」など)には触れません。ダイアログが出ると拡張が固まり、人間がOKを押すまでAIの処理が止まるためです。デモでは松本が横で1クリックする運用にしています。
業者欄(免許番号・事務所)は会員の実データが自動反映されるため、AIは触りません。
人間レビューポイント
AI転記後、人間が最終確認する箇所は3種類です。
数値の確認 地積・床面積・売買代金・手付金・残代金の数値を、元の資料と突合します。小数点の位置、単位(㎡・円・万円)、カンマ区切りの有無を確認します。
住所の確認 所在・地番・家屋番号の表記を確認します。特に地番は「2番3」「2番地3」「2-3」など表記ゆれがあり、AIが元の資料の表記をそのまま転記するため、ラビー画面の表記ルールと合っているかを確認します。
氏名の確認 売主・買主・宅建士の氏名を確認します。漢字の誤変換、旧字体・異体字の扱い、カタカナ・ひらがなの混在に注意します。
確認方法は、画面表示とPDF出力の両方で行います。画面では入力値を直接確認でき、PDFでは実際の書類に印字される形を確認できるためです。
デモの見せ方(3分構成)
顧問先向けのデモは3分で見せます。
30秒: 現状の課題 「この紙の資料、いつも手入力ですよね」と問いかけ、謄本・物件概要書の実物(ダミー)を見せます。
60秒: AI読取 AIが資料を読んでJSON化する画面を見せます。謄本の表題部から所在・地番・地積を抽出し、構造化されたデータが画面に表示される様子を実演します。
60秒: 自動転記 ラビーネットの入力欄が自動で埋まっていく画面を見せます。土地・建物・代金のセクションを順に入力し、保存ボタンを押すまでを実演します。
30秒: 時間短縮の効果 「1件あたり3時間→15分。月20件なら約57時間の創出です」と数値で締めます。創出された時間を何に振り向けるかまで提案すると、導入の動機が明確になります。
デモで使う資料は6点です。物件概要書・謄本(土地)・謄本(建物)・固定資産評価証明書・重要事項説明書・売買契約書のすべてに、赤帯「研修・デモ用ダミー」と「見本」透かしを入れています。架空の物件データJSON 1つを正本とし、そこから6書類を生成しているため、すべての書類で数値・固有名詞が整合します。
よくある質問
Q. ラビーネットのログイン情報をAIに渡す必要がありますか?
A. いいえ。ログインは人間が事前に済ませておき、AIはログイン済みのブラウザタブで入力作業だけを行います。ID・パスワードをAIに渡すことはありません。
Q. 60分で自動ログアウトする仕様ですが、転記は間に合いますか?
A. 1タブずつ保存しながら進めれば45分以内に完了します。セクション切替でも自動保存されるため、途中でセッションが切れても入力済みの部分は保持されます。
Q. 全日会員でなくても同じ方法は使えますか?
A. 使えます。自社の契約書作成システムや、レインズ・他の業界システムでも、入力項目名を確認してマッピング表を作れば同じ仕組みで自動転記が可能です。
Q. AI転記後の人間レビューでチェックすべき箇所はどこですか?
A. 数値(地積・床面積・金額)、住所(地番・家屋番号の番地表記)、氏名(売主・買主・宅建士名)の3種類を最終確認します。これらは誤変換が残っていても気づきにくいため、画面とPDF出力の両方で目視確認します。
Q. デモで使うダミー書類はどのように作りましたか?
A. 架空の物件データJSON 1つを正本とし、そこから謄本・物件概要書・固定資産評価証明書・重説・契約書の6点を生成しました。全書類に赤帯「研修・デモ用ダミー」と「見本」透かしを入れ、実在の地番・人物・法人は使用していません。
相談窓口
契約書類作成の自動化は、転記マッピング表の設計と人間レビューポイントの明確化が成否を分けます。ラビーネット以外の業界システムでも、画面項目名を確認すれば同じ仕組みで自動転記が可能です。
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