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不動産会社が選ぶべきLINE運用ツール

売主集客では反響後に営業が直接連絡するためスコアリング不要。3アカウント構成時の年間費用差79〜132万円と、相談会でのオートウェビナー・相対リマインド要否で判断する(2026年8月時点)。

不動産会社がLINE運用ツールの費用を比較している画面

この記事の結論

不動産会社のLINE運用ツール選定は、反響後の営業フローで決まります。売主集客は反響後に営業が直接連絡するためスコアリング不要です。相談会運用では参加者ごとの予約日リマインド・オートウェビナー・会員サイトが必須になります。3アカウント構成時の費用差は年79〜132万円。判断軸は「どの機能を本当に使うか」です。

LINE運用ツールとは、何を自動化するツールか

LINE運用ツールは、LINE公式アカウントの友だちに対して、登録直後の自動メッセージ・条件分岐した配信・フォーム回答に応じたタグ付けなどを行うツールです。不動産会社では、反響獲得後の初期対応・セミナー参加者へのリマインド・問い合わせ内容の振り分けなどに使われます。

LINE公式アカウント単体でもメッセージ配信は可能ですが、「動画を見た人だけに次のメッセージを送る」「フォームで『相続』を選んだ人を別のシナリオに分ける」といった条件分岐や自動化はできません。これを補うのがLINE運用ツールの役割です。

代表的なツールとして、Lステップ・UTAGE・エルメ・Liny・プロラインフリーなどがあります。本記事では、不動産会社での実際の選定判断をもとに、Lステップ・UTAGEの2つを取り上げます。AIツールの選び方と情報の線引きも参考にしてください。

売主集客でスコアリングが効かない理由

不動産会社の売主集客では、反響後に営業が直接連絡するため、Lステップのスコアリング機能が効きません。

Lステップの強みは、友だちの行動を点数化して「見込み度A・B・C」のようにランク分けする「スコアリング機能」と、カルテ形式で友だちの属性・行動履歴を一覧表示する「顧客カルテ」です。メルマガやオンライン講座の販売では、開封率・クリック率・視聴時間などから見込み度を自動判定し、ホットリードだけに個別相談を案内する使い方が効果を発揮します。

しかし、不動産会社の売主集客では、この仕組みが機能しません。理由は、反響後の営業フローにあります。

売主から「査定をお願いしたい」とLINEで反響があった瞬間、営業は直接電話をかけ、訪問日程を調整します。その後はメールや電話、対面での商談に移行し、LINEは使われなくなります。LINEの役割は「反響を取るまで」であり、反響後は人が動くため、見込み度を点数化して自動的に追客する運用にはなりません。売主集客の3つの打ち手でも、反響後の営業フローが重要であることを示しています。

私たちが支援している複数の不動産会社でも、反響後にLINE上でスコアリングを活用した事例はありません。査定・訪問・契約までの判断は営業の領域であり、LINEは窓口として機能した時点で役割を終えます。スコアリングが効くのは、商談までの接点がすべてオンラインで完結し、見込み度を機械的に判定できる商材です。

年間コスト比較表 — 3アカウント構成の場合

3アカウント構成時、LステップとUTAGEの年間費用差は79万円〜132万円になります。複数アカウント運用では、ツールの費用構造が大きく変わるためです。

以下は2026年8月時点の公開情報に基づく試算です。

構成 月額(税込) 年額
Lステップ 最小構成(売主のみプロ+API、他2つはスタンダード) 87,340円 1,048,080円
Lステップ 全アカウントにAPI(プロ+API × 3) 131,340円 1,576,080円
UTAGE 1契約(3アカウント連携込み) 21,670円 260,040円

アカウント数による年間費用の構造的違い

1アカウント
Lステップ 21,780円/月 ≒ UTAGE 21,670円/月
ほぼ同額
2アカウント
Lステップ 43,560円/月 (2契約)
UTAGE 21,670円/月 (1契約)
3アカウント
Lステップ 87,340〜131,340円/月 (3契約)
UTAGE 21,670円/月 (1契約)
年間差額 79〜132万円

Lステップの費用構造

  • 1アカウント = 1契約
  • アカウント数に比例して増加
  • API連携は別途 +11,000円/月

UTAGEの費用構造

  • 1契約で複数アカウント連携可
  • アカウント数に関わらず定額
  • API連携は追加費用なし

2026年8月時点の公開情報による試算。売主用・買主用・相続終活用など複数アカウント運用では費用構造の違いが顕在化する

図1 3アカウント構成時の年間コスト比較表

Lステップの料金構造(2026年8月時点) - スタンダードプラン: 月21,780円 - プロプラン: 月32,780円 - API連携オプション: 月11,000円(プロプラン以上で利用可能) - 1アカウント1契約のため、アカウントを増やすほど費用が線形に増加

UTAGEの料金構造(2026年8月時点) - 月額21,670円(税込)の1プランのみ - 1契約で複数のLINE公式アカウントを連携可能 - 追加費用なし

差額は年間およそ79万円〜132万円です。

なお、上記はLINE運用ツールの費用のみで、LINE公式アカウント本体の費用は別途必要です。最新の料金は各ツールの公式サイトでご確認ください。

API連携の実装可否と追加コスト

2026年8月時点の公開情報によると、LステップのAPI連携は以下の前提条件があります。

Lステップ公式サイトの記載内容: - プロプラン以上(月32,780円〜)が必須 - API機能は月11,000円(税込)の追加オプション - 標準APIとして、タグ付け・友だち情報取得・メッセージ送信などが可能 - 月間実行回数の上限: プロプラン 50,000回/月

UTAGE: - 全機能がAPI開放されており、追加費用なし - REST APIおよびMCPサーバーを公開 - 公式の「UTAGE×AI」マニュアルが存在

私たちが支援している不動産会社では、LINEのシナリオ設計・配信テキスト・フォーム設計をAIで行う事例が増えています。AIで構築・改善を回す前提では、API連携の可否とコストが重要な判断要素になります。

なお、LステップのAPI連携を実際に運用する際には、MakeやYoomなどの連携ツールが必要になる場合があります。これらのツールの費用は別途確認が必要です。LINE AIボットを3ステップで構築する方法も参考になります。

相談会運用での使い分け — オートウェビナー・相対リマインド

売主集客ではスコアリング不要でしたが、相談会運用では別の機能が必須になります。私たちが支援している関西の不動産会社(グループ3拠点)では、以下の要件がありました。

  • 予約日ごとにリマインドを送る(参加者ごとに日付が違う)
  • 来られない人にもセミナー動画を自動配信する
  • 相談後もフォローアップ情報を提供する会員サイトを用意する

この運用では、参加者ごとの予約日に対応した相対リマインドが必要です。2026年8月時点で確認した範囲では、UTAGEは参加者ごとの日付に対応したリマインド機能を持っています。

セミナー動画の自動配信(オートウェビナー)も必要です。2026年8月時点の公開情報では、Lステップのオートウェビナー機能は別オプションのLキャスト(月14,960円)として提供されています。UTAGEは標準機能としてオートウェビナーを搭載しています。

会員サイトも同様です。相談後のフォローアップ資料・過去のセミナー動画・FAQ集などを提供する場として、会員サイトは有効です。UTAGEは会員サイト機能を標準搭載していますが、Lステップには会員サイト機能がありません(2026年8月時点)。

機能 Lステップ UTAGE
参加者ごとの日付へのリマインド 要確認 対応
オートウェビナー 別オプション(月14,960円) 標準
会員サイト なし あり

反響後の営業フローで決まる機能要否

売主集客の場合

01 LINE 反響を取るまで
02 営業 電話・訪問で対応

不要な機能: スコアリング、顧客カルテ、自動追客

理由: 反響後は営業が直接連絡。LINEは窓口で役割終了

相談会運用の場合

01 予約 参加者ごとの日付
02 リマインド 相対日程で送信
03 動画配信 オートウェビナー
04 会員サイト 資料・FAQ提供

必須な機能: 相対リマインド、オートウェビナー、会員サイト

理由: 参加者ごとに異なる日程への自動対応が必要

運用フローによってLINEツールに求める機能は根本的に異なる。反響後に何を自動化し、何を人が担うかで判断する

図2 反響後の営業フローで決まる機能要否マトリクス

売主集客と相談会運用では、LINEツールに求める機能が異なります。反響後の営業フローで何を自動化し、何を人が担うかによって、ツールの選択は決まります。セミナー集客のLINEファネル設計オートウェビナーの自動参加促進も参考にしてください。

管理画面の見やすさとサポート体制の差

私たちが複数の不動産会社でLINE運用ツールを検討した経験では、管理画面の見やすさとサポート体制が日常運用の負担に影響します。ただし、年80〜130万円の費用差との天秤になります。

Lステップ: - 管理画面の見やすさと直感的な操作性が評価されている - 有人チャットサポート・個別相談が標準で付属(公式サイト記載) - 友だちの一覧・配信履歴・クリック率などを一画面で確認できる

UTAGE: - 機能は網羅されているが、操作に慣れるまで時間がかかる場合がある - サポート体制の詳細は契約前に確認が必要

私たちが支援している現場では、操作手順書を作成し、毎月のAI研修枠でツール操作を扱うことで、日常的な負担を軽減しています。管理画面の見やすさと年80〜130万円の費用差、どちらを優先するかは経営判断です。

一人で運用を回すことを最優先するなら、Lステップを選ぶ判断も筋は通ります。逆に、構築・改善をAIで回す前提なら、UTAGE側の全機能API開放が有利です。

判断軸 — 反響後の営業フローで決める

LINE運用ツールの選定は、以下の3軸で判断します。

(1) 反響後に何を自動化し、何を人が担うか

売主集客では、反響を取った瞬間に営業が電話をかけます。LINEは窓口として機能した時点で役割を終え、スコアリングは不要です。

相談会運用では、予約日ごとのリマインド・セミナー動画の自動配信・会員サイトでのフォローアップが自動化の対象です。

どこまでをLINEで完結させ、どこから人が介入するかによって、必要な機能は変わります。

(2) 複数アカウント運用時の費用構造

1アカウントなら、Lステップのスタンダードプラン(月21,780円)とUTAGEのスタンダードプラン(月21,670円)はほぼ同額です。

しかし、売主用・買主用・相続終活用など複数アカウントを運用する場合、Lステップは1アカウント1契約で費用が線形に増えます。3アカウント構成時の差額は年79〜132万円です。

アカウント数が増える可能性があるなら、費用構造の違いは無視できません。

(3) API連携とAI活用の前提

LINEのシナリオ設計・配信テキスト・フォーム設計をAIで行う場合、API連携の可否とコストが重要です。

Lステップは、プロプラン+API+ノーコードツールの3層構成になります。UTAGEは全機能API開放・追加費用なしです。

構築・改善を自分で回すなら管理画面の見やすさを優先し、AIで自動化するならAPI開放を優先します。

他のLINE運用ツールの選択肢

本記事ではLステップ・UTAGEの2つを取り上げましたが、他にもエルメ・Liny・プロラインフリーなど複数のツールがあります。

不動産会社の場合、反響後に営業が直接連絡する運用であれば、シンプルな機能で十分な場合もあります。逆に、相談会運用・オートウェビナー・会員サイトを前提とするなら、これらの機能を標準搭載しているツールが選択肢になります。

各ツールの詳細は、公式サイトで最新の料金プランと機能をご確認ください。

実際の選定事例 — 3アカウント構成・相談会運用の場合

私たちが支援した関西の不動産会社(グループ3拠点)では、以下の要件がありました。

  • 売主用・買主用・相続終活用の3アカウント構成
  • 相談会でのオートウェビナー・相対リマインド・会員サイトが必須
  • AIで構築・改善を回す前提

この要件に対して、UTAGEを推奨しました。理由は3つです。

理由(1): 相談会運用で必要な機能が標準搭載されている 参加者ごとの予約日リマインド、セミナー動画の自動配信、会員サイトは、いずれもUTAGEの標準機能です(2026年8月時点)。Lステップのオートウェビナーは別オプション(月14,960円)、会員サイトは未対応です。

理由(2): 3アカウント構成時の費用差が年79〜132万円 1契約で複数アカウント連携可能なUTAGE(月21,670円)と、1アカウント1契約のLステップでは、費用構造が根本的に異なります。

理由(3): 全機能API開放・追加費用なし AIで構築・改善を回す前提では、API連携の可否とコストが重要です。UTAGEは全機能API開放・追加費用なし、Lステップはプロプラン(月32,780円)+API(月11,000円)が必要です。

一方、Lステップを選ぶ判断が正当化されるのは、一人で運用を回すことを最優先し、年80〜130万円の費用差を操作性に払うという考え方を取る場合です。管理画面の見やすさ・有人チャットサポートは、日常的な負担を軽減します。この判断も筋は通ります。

UTAGEを選ぶ場合のリスクと対策

UTAGEを選んだ場合のリスクも存在します。私たちが支援している現場で確認されたリスクと対策を示します。

リスク 対策
管理画面の操作に慣れるまで時間がかかる 操作手順書を作成し、社内研修で扱う
サポート体制の詳細が不明 契約前にサポート体制を確認する
構築を外部に依存すると、社内で改善できなくなる 構築物はすべて手順書化し、担当者が自分で直せる状態にする
将来スコアリングが必要になった場合、ツール変更が困難 友だちリストは移行できないため、事実上の片道判断。ただし売主集客の運用で必要になる場面は想定できない

最大のリスクは、「スコアリングが後から必要になった場合、友だちリストを移行できない」ことです。LINEの友だち情報は各ツールのデータベースに保存されており、ツールを変更すると友だちリストを引き継げません。

ただし、不動産会社の売主集客では、反響後に営業が直接連絡するため、スコアリングが必要になる場面は想定できません。商材・営業フローが変わらない限り、このリスクは顕在化しません。

Lステップを選ぶ判断が正当化される場合

費用差・機能差だけでは、UTAGE有利という結論になります。しかし、Lステップを選ぶ判断が正当化される場合も存在します。

ケース(1): 一人で運用を回すことを最優先する 管理画面の見やすさ・有人チャットサポート・60分個別相談は、営業担当が一人でLINEを運用する際の負担を大きく軽減します。年80〜130万円の費用差を「操作性に払うコスト」と考えるなら、Lステップを選ぶ判断も筋は通ります。

ケース(2): スコアリング・クロス分析を将来活用する可能性がある 売主集客では不要でも、買主向けのメルマガ運用・オンラインセミナー販売などで、将来的にスコアリングを活用する可能性があるなら、Lステップを選ぶ理由になります。

ケース(3): 1アカウントのみの運用 複数アカウント運用の予定がなく、1アカウントのみで完結するなら、費用差はほぼありません。この場合は管理画面の見やすさ・サポート体制で選ぶ判断が合理的です。

よくある質問

Q. 売主集客ではスコアリング機能が不要とされる理由は何ですか?

A. 反響後は営業が直接電話や訪問で連絡するため、LINEで見込み度を点数化して機械的に追客する運用にならないためです。反響を取るまでがLINEの役割であり、反響後は人が動きます。

Q. LステップとUTAGEの年間費用差はどこから生まれますか?

A. Lステップは1アカウント1契約で、売主用・買主用などアカウントを増やすほど線形に費用が増えます。UTAGEは1契約で複数のLINE公式アカウントを連携可能なため、3アカウント構成時の差額は年79〜132万円になります。

Q. 相談会運用でUTAGEが有利とされる機能は何ですか?

A. 参加者ごとに異なる予約日への相対リマインド、セミナー動画の自動配信(オートウェビナー)、会員サイトの3つです。Lステップのオートウェビナーは別オプション(月14,960円)、会員サイトは未対応です(2026年8月時点)。

Q. LステップのAPI連携に必要な追加費用はいくらですか?

A. プロプラン以上(32,780円〜)が必須で、API機能は月11,000円(税込)の追加オプションです(2026年8月時点の公開情報)。さらにMakeやYoomなどの連携ツールが必要になる場合があり、本格運用時の費用は別途確認が必要です。

Q. 管理画面の見やすさと費用差、どちらを優先すべきですか?

A. 運用を一人で回すことを最優先するなら、年80〜130万円の費用差を操作性に払う判断も筋は通ります。ただし構築・改善をAIで行う前提なら、UTAGE側の全機能API開放が大きなアドバンテージになります。

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AUTHOR

松本 龍樹

株式会社MCO 代表取締役/宅地建物取引士。代表プロフィールを見る